Macromedia Flash Conference 2004

2004.10.23  渡邉達朗

Macromedia Flash Conference 2004
昨日はMacromedia Flash Conference 2004に参加してきた。8ballというコードネームで呼ばれる新Flash Playerや、ドラクエのサイトなどを手掛ける株式会社アストロインパクトの全く一般的ではないワークフローなど面白い話が聴けたのが一番の収穫だった。長くなるので詳細は後ほど整理してから追記する予定。

カンファレンス終了後、同僚Nandyの送別会へ。これから寂しくなるなぁ。

<2004.10.24 追記>

Macromedia Flash Conference 2004 ~ Breakthroughs ~
マクロメディアが明かす、次世代のFlash

主催:マクロメディア株式会社
会期:2004年10月22日(金)
会場:セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)

[基調講演] 10:00-11:00
Breakthroughs
– Flash プラットフォームの全容と次世代Flashのプレビュー –
Kevin Lynch(Executive Vice President and Chief Software Architect Macromedia)

幕開けはヤマハが米国向けに販売している自動演奏ピアノ「Disklavier MarkIV」によるデモンストレーション。このピアノには Flash をユーザーインターフェースに用いた専用端末が付属し、自動演奏したい曲をグラフィカルなメニューから選択できるようになっていた。

続いて、Flash がパソコンのインターフェースそのものにバンドルされた例として「VAIO type M」を紹介。キーボードを閉じると自動的に時計とスクリーンセーバーが表示され、音楽再生がスタートするのだが、非常に美しいインターフェイスだった。

今後の Flash の展開としては、サーバーサイドで動作する製品を強化していくとして「Flex 1.5」を紹介。サーバー側で動的に Flash を作成でき、システムは XML ベースで動作するために既存の XML ベースの環境と連動して動作する点が特徴となっている。

また、Flash Player が最も普及率の高い Video Player である点にも言及。事例として東京電力の「でんき予報」などを挙げながら優位性を語っていた。

最後にお待ちかねの次世代 Flash Player(コードネーム“8 ball”)が登場。会場で明らかにされた新機能は以下の5つだけだった。登場時期については現時点でまったく決まっていないとのこと。

◇ フォントレンダリング技術「Saffron」搭載(Windows XP に使われている「ClearType」より高品質)
◇ Flash Player 側でのグラフィックエフェクト機能の追加(Photoshop のレイヤー効果のようなもの。ブラーやドロップシャドウ、グローなどが用意されており、各パラメータは Action Script でも制御可能)
◇ ビットマップレンダリングパフォーマンスの向上(プレビューでは10倍程度早くなっていた)
◇ コンポーネントのスピードアップ
◇ Alpha Video(透過情報付き動画)への対応
TEPCO でんき予報

[特別講演] 11:00-11:30
TRON の目指すユビキタスコミュニケーション
坂村 健(東京大学大学院情報学環教授 工学博士)

「ユビキタスって何?」みたいな話から始まり、TRONを取り巻く現状をあわただしく語った。

今後あらゆるものに電子タグが付けられるようになり、ユビキタスコミュニケーターで読み取ったRFIDで、UIDセンターにある情報を取得し表示することが当たり前に行われるようになる。薬の飲み合わせがすぐにわかる点などで有効であり、情報を瞬時に表示するにはリアルタイムOSである「ITRON」が優位に立っているそうだ。

ITRONをベースにした開発プラットフォーム「T-Engine」上では既にFlashは動作しており、ユーザーにわかりやすいインターフェイスを提供するためにも、デザイナーにはDBと連動し様々な言語で表示されることを考慮したインターフェイスを作って欲しいと訴えていた。

T-Engine Forum

[C-1] 13:00-14:00
コンテンツから UI へ、組み込み家電における Flash 活用法と将来性
松井 邦夫(マクロメディア株式会社 モバイル アンド デバイス ソリューションエンジニア)

正直しょっぱいセッションだった。あまり目新しい情報がない。Flash Lite 1.1 では「Load Movie」機能が swf しかサポートしていないので、JPEG をサポートする予定があることや、電池残量などのデータへのアクセスをポーリングではなくイベントドリブンでできるようにしたいという話くらいか。

[A-2] 14:30-15:30
まるで動くイラスト!Flash アニメーション「或る旅人の日記」の作り方
加藤 久仁生、加藤 雅章(株式会社ロボット)

前半はロボットという会社の紹介がひたすら続く。「踊る大捜査線2」で名前を見た覚えがあったが、テレビ CM・映画・ゲーム用CG・音楽・ウェブなどと手広くやっているようだ。「ゼクシィ」と「NISSAN MURANO」の CM が立て続けに流れた時は「これ同じとこが作ってたのか……」と少し驚いた。手掛けたウェブサイトでは「麒麟酔茶チューハイ」と「TOYOTA Isis」がよさげな出来。

後半、いよいよ本題に突入かと思われたが、作者である加藤久仁生氏はあまり人前で話すことに慣れていないようで、前半同様営業の加藤雅章氏が喋りまくっていた。紹介されていた製作法は非常にアナログ。彩色とオーサリング以外は全て手作業で、今のアニメ業界のほうがよっぽどデジタル化が進んでいると思った。

ただ、闇雲にデジタル化・効率化を推し進めないからこそ、こういう作品を作ることができたのかもしれないとは思う。

株式会社ロボット
麒麟酔茶チューハイ
TOYOTA Isis

[A-3] 16:00-17:00
テクノロジーを理解すると見えてくる、Flash フル活用のクリエイティブディレクション術
岡田 有正(株式会社アストロインパクト 代表取締役)

このセッションはすごかった。アストロインパクトは社員たった3人の会社で、バイトは約20名。全員が SOHO スタイルで仕事しており、ミーティングは Flash Communication Server 上で行われているという。

実際に制作管理画面も見せてくれたのだが、これが本当によくできていて感心した。画面左側にタスクリストがあり、この案件にはどんな作業が必要であり、それぞれ何%進んでいるのかが一目瞭然となっている。右側上部には選択されたタスクの詳細が表示され、その下には専用の掲示板とビデオチャットが用意されていた。ビデオチャットは音声対応であり、指定した URL を表示しペンで書き込む機能も付いているので効率よく相談できる。SOHO でよく聞く孤独感も、こんなシステムだったら味わわずにすみそうだ。

さらにびっくりしたのが制作期間。「ドラゴンクエスト」公式サイトで2週間、「制コレ’03」は10日間、「半熟英雄」だと1週間、「鉄騎」なんて1日!という速さ。オールFlash、しかも素材は全く無い状態からスタートでこのスピードは恐ろしいものがある。

ドラクエに関する話で肝になったのは「XML」「Shared Object」「オブジェクト指向」の3つ。XML を使用することでプログラマ以外にもスクリプト制作を依頼したり、仕様変更に柔軟に対応できると話していた。Shared Objectを使ったのはユーザー認証の手間を省くためらしい。制作時にドット絵や音は貰えるものと思っていたら全く支給されず、オリジナルとは似て非なるものにするよう指示があり、泣く泣くドット絵をイチから全部起こした話は涙を誘った。

株式会社アストロインパクト
JUMPLAND
ドラゴンクエスト公式サイト
FINAL FANTASY CAFE
半熟英雄公式ウェブサイト

[特別セッション] 17:30-18:30
Colin Moock 緊急講演
Flash の未来はマルチユーザーにあり ~ユニファイドコンピューティングがもたらす、人とコンピュータとの新しい関係~

Colin Moock がいきなり X-BOX ファンであることをカミングアウト。ゲームの出来の良さをたっぷりアピールした後で、複数同時体験の重要性をいろんなFlashアプリケーションを紹介しながら訴えていた。他の人がブラウジングしている様子を半透明のマウスカーソルで見せるサンプルがいい感じ。

moock.org

[スペシャルイベント] 18:45-19:45
LiFE* with Technology 5.0

「ID for WebLiFE*」というホームページ作成ソフトが興味深かった。HTMLの生成や画像のレタッチなどができるだけでなく、Flash サイトが簡単に作れてしまうようになっている。位置付けとしては「Contribute」に近い。

どういう仕組みかというと、このソフトは「IDカートリッジ」と呼ばれる Flash で作ったデザインテンプレートを約100種類搭載しており、ユーザーは好みのカートリッジを選択して画像やテキスト、ムービーなどを指定するだけで Flash サイトができあがってしまうのだ。セミオーダー感覚のソフトと言える。

また、このカートリッジは自作することもでき、たとえばプロが作ったカートリッジを使って、素人が更新作業をするという使い方も想定できる。場合によっては使えるソフトかもしれない。

ID for WebLiFE*
Macromedia Contribute

“Macromedia Flash Conference 2004” へのコメント

  1. A LOT

    次期Flashプレーヤ「8 Ball」

    チョット遅いけど次期Flashプレーヤ「8 Ball」についてメモ。 新Flash Playerは8ballというコードネームで呼ばれてます。 ・リアルタイムでビデオエフェクト出来たりダイナミックテキストにもエフェクトがかけられるようになるらしい。 ・フォントのレンダリングもclear t…

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