郵政民営化

2005.08.13  渡邉達朗

郵政については知らないことが多く非常に勉強になったので備忘録としてエントリーしておく。間違いや新しい情報があるたびに更新する予定。


  • 日本の国家財政の状況
    • 44兆円の税収に対して歳出は82兆円。18兆円国債を償還し、34兆円の国債を発行している。
    • 家計にたとえた場合、月収40万円の人が生活費に39万円使い、ローンの返済に15万円、田舎への仕送り13万円必要なので毎月28万円の借金をしている。おまけにローン残高は5,300万円もある状態。(参考リンク:財務省
    • 高齢化社会の進展による社会保障費の増大にも対応しなければならない。
  • 財政危機を回避するには
    • 増税により税収を増やし、行政サービスを減らして支出を減らす。
    • 例えば増税だけで対処しようとなると消費税を20%以上にすることになるので、増税とサービス低下を同時に進める必要がある。
    • 緊縮財政と増税のセットでは不景気になる可能性も高い。
    • なぜ今まで対応が遅れていたのかは以下の歩みを見るとよくわかる。
      • 1978年:大平内閣
        早期の消費税導入による財政強化を図るが、総選挙に大敗し撤回。
      • 1986年:第3時中曽根内閣
        売上税構想を練ったが世論の批判に屈した。
      • 1988年:竹下内閣
        消費税法を強行採決により成立。内閣支持率が10%未満まで低下し死に体となる。1989年4月の消費税導入を見届け、6月にリクルート事件を契機に退陣。
      • 1994年:細川内閣
        税率7%の国民福祉税構想を発表。世論の集中砲火を浴びて構想は頓挫、挙句に政権まで失う。
      • 1997年:橋本内閣
        消費税率を5%に上げたものの焼け石に水。それでも国民の怒りが炸裂し、翌年の選挙で再び記録的な大敗を喫する。
  • 日本の銀行業
    • 全国銀行全ての総資産合計は約800兆円。そのうち、郵便貯金の総資産は約300兆円(世界一)。
    • 業務損益を見ると、過去10年以上にわたり毎年平均3兆円以上のマイナス。足りない分を補助金で賄っている。
    • 郵政公社だけが国の優遇を受けており、民間銀行は不利な条件の中競争している。
      • 法人税、固定資産税、事業税等が免除。
      • 預金保険機構への保険料を払ってなくても預金は国によって完全保証。
    • バブル崩壊後、民間企業の返済能力の低下により銀行の不良債権が増加。公的資金投入へ。
  • 自民党と特定郵便局
    • 1871年の郵便制度発足時に、全国にいち早く郵便制度を浸透させるために考えられた制度。
    • 全国に約2万5000局ある郵便局の4分の3、1万9000局近くを占める。
    • 特定郵便局長は国家公務員。過去ほとんどにおいて募集が公開されておらず、採用までの経過はほとんど不明であった。世襲制と批判されている。
    • 郵便局舎は私有物の場合が多く、郵政公社が借り上げている形になっている。要するに局長は給料と家賃のダブルインカム。
    • 局長の自由裁量で使える渡切費という経費が批判の的となり、2002年に廃止された。
    • 局長は全国特定郵便局長会(以下、全特)という「私的な」団体に属している。
      • よく似た組織としては日本郵政公社内にある「特定局業務推進連絡会(通称:特推連)」や、「財団法人 特定郵便局長協会」がある。
      • 全特(通称:大樹の会)は自民党最強の集票マシン。
      • 2001年の参院選で特定局長らによる組織ぐるみの選挙違反事件が摘発された。
    • 参考リンク
  • 郵政解散について
    • 衆院は8/8夜の本会議で解散された。郵政民営化関連法案の参院否決を受け、小泉純一郎首相が決断した。
    • 衆院本会議採決で同法案に反対した自民党議員を公認しないと明言。
    • 欠席・棄権者については民営化に賛成すれば公認はあり得ると指摘。
    • 参考リンク
  • 郵政民営化すればどうなるか
    • 2007年4月に窓口ネットワーク、郵便、郵便貯金、郵便保険(簡易保険)の4事業別に分社化し、それらを統括する持ち株会社を設置。
    • 郵便貯金と簡易保険の株式は10年間で完全売却するが、持ち株会社が買い戻すことはできる。
    • 2017年3月末までに郵貯会社と郵便保険会社の「民有民営」を実現。
    • 窓口ネットワーク会社を新たに作ることにより郵便局のコンビニ化を図る。
    • ヤマト運輸などの民業を圧迫する可能性あり。
    • 民営化後に契約した預金・保険は、民営化前の政府保証がついている預金・保険と区別される。
    • ユニバーサル(全国均一)サービスの提供が郵便事業会社に義務づけられるが、採算性の低い郵便局の統合・廃止はありえる。
    • 法人税、法人事業税、固定資産税を支払うことになるので税収増。
    • 現在の郵便局は黒字経営なので、郵便局の職員の給料を含めてそれでまかなわれており税金は投入していない。民営化すれば公務員の数を減らすことはできるが、国家財政から人件費を削減するという点では貢献しない。
    • 参考リンク
  • 郵政民営化の先にあるもの
    • 年金支払額のアップと給付額のダウン。
    • 医療補助の削減と保険料の上昇。
    • 大増税。
    • 行政サービスの大幅な低下。

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2005.8.13

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