「探偵 神宮寺三郎」シリーズは1987年にファミコン用タイトルとして登場したハードボイルドなアドベンチャーゲーム。熱狂的なファンも多く、その後もプラットフォームを変えながら9作がリリースされている。前作・前々作はPS2向けだったが、10作目となる「探偵 神宮寺三郎 白い影の少女」は、初の携帯ゲーム機作品としてゲームボーイアドバンス用に制作された。
物語は、神宮寺の大学時代からの友人・哲司の訃報が届くところから始まる。告別式で恋人への遺品返却を頼まれた夜、神宮寺の旧友である熊野警部からも奇怪な都市伝説「ゆうちゃん」についての捜査を依頼される。2つの奇妙な事件はどんな結末を迎えるのか……。
新システムとして、バットエンドを含む無数の選択肢の中から正解を推理する「推理システム」と、推理システムから入手した探偵ポイントを振り分けることで、パートナーのAIが成長し的確なアドバイスが得られる「パートナーシステム」が搭載されている。
また、パートナーとして助手の洋子以外にゲストキャラである春菜を選ぶことができ、それによってシナリオ自体が変化する点も本シリーズでは珍しい要素。ただ、携帯機種に移行したためか、声優によるキャラクターボイス演出がなくなったのは残念だった。
肝心のストーリーは非常に心温まるもので素晴らしい。少しの時間でも話を進められるようになっている点も好ましかった。初回版だったので記念シングルCD「神宮寺三郎 SOUND FILE」が同梱されていたのだが、歴代のBGMが懐かしくてつい聴き込んでしまった。