1830年、冬、パリからライン河へ謎と冒険の旅がはじまる。旅の仲間は四人、カナダから来た少女コリンヌ、酔いどれ剣士モントラシェ、カリブの海賊王ラフィット、若き自称天才作家アレク。奇怪な塔に幽閉された仮面の男は死んだはずのナポレオンなのか？　謎と冒険の旅がいまはじまった……。

「ラインの虜囚」は子供自身が選ぶ児童文学賞「うつのみやこども賞」にも選ばれたジュブナイルである。森博嗣著「探偵伯爵と僕」に続き、田中芳樹・鶴田謙二コンビに惹かれてつい買ってしまったのだが、看板に偽り無く、昔読んだ冒険小説を思い出すような内容でとても面白かった。

本書は装幀がとても贅沢で、大きい文字と全ルビが子供の頃を思い起こさせる。また、ある人物の正体が明かされる段はとても感動的であり、ラストも非常に美しいものだった。子供から大人まで楽しめる素敵な小説だと思う。