三日月の館で妻の夏美を殺害された香山は、事件後、三日月島の呪いに苦しむ夏美の夢を何度も見るようになる。有名な祈祷師ケマルーア彦田によると、過去、三日月島を統治していた岸猿家の当主・岸猿伊衛門の怨念で、島で死んだ者の魂を束縛し成仏できずにいるという。香山は彦田の助言に従い三日月の館を修復し、事件の一年後に当事者を集め、夏美の供養を行うことを決意した。因縁の地で一同はまたもや奇妙な事件に巻き込まれてゆく……。
「かまいたちの夜」はチュンソフトから発売され人気を博したサウンドノベル・ゲームソフト。本作は4年ぶりに発売されたシリーズ3部作の完結編である。前作ではサブシナリオ執筆と監修にとどまっていた我孫子武丸が、本作では再び筆を揮っていると知り発売を楽しみにしていた。
本作のストーリーは前作・前々作と密接に関わるため、「かまいたちの夜」「かまいたちの夜2」のメインシナリオを改訂版という形で収録している。したがって、ゲーム開始時は「ペンション“シュプール”編」「監獄島のわらべ唄編」「三日月島事件の真相編」という3つのシナリオから、どれでも選んでプレイすることが可能だ。
また、最初に選べる主人公は香山1人だが、シナリオが進行するにつれて徐々に選択できる主人公が増えていくというザッピングシステムが新たに搭載されている。選択した主人公の視点で事件を体験でき、各主人公しか知らない事件の情報がプレイすることでわかってゆくというもの。各主人公が選んだ選択肢は、他の主人公の行動にも影響を与えるため、各キャラクターの行動の組み合わせも事件を解決する上で必要となる。
既読の時間帯であればタイムチャートを選択することで、時間帯と主人公を切り替えることができるのだが、面倒なだけであまり効果的に感じられない。我孫子武丸氏復活ということで期待したが、肝心のメインシナリオも2の後日談といった感じで少々期待外れであった。ただ、このシリーズをやっている人ならば最後まで見た方がよいと思う。