最近ようやく落ち着いた時間を持つことが出来るようになってきた。ゲームをプレイすることは、いい気分転換になるので大好きなのだが、断続的な空き時間にちょっとずつ遊ぶ感じなので、据え置きのハードでRPGにじっくり取り組むといったことはやりにくい。自然とアドベンチャーゲームを好んでやるようになっているのだが、中でも「探偵 神宮寺三郎」シリーズには楽しませてもらっている。
ファミコンのディスクシステムの時代から続いている有名なシリーズなので、知っている人には今さら説明することもないが、プラットフォームを変えつつ今に至るまでしぶとく続いているのは、熱心なファンと向き合いつつ、きちんと作品を作り続けているからだろう。初登場から20年近く経過した今でも、神宮寺や洋子、熊さんといったキャラクターの魅力は衰えていない。また、大阪にいた時よりも東京で生活している今の方が、新宿という舞台がよりリアルに感じられ引き込まれるようだ。
とまぁ前置きはともかく、2008年4月に発売されたものを今ごろプレイしているわけだが、今回のメインシナリオは20年前に自殺した依頼人の妹の死の真相を調査するというもの。本作はいわゆる殺人事件ものではないので面白くないという人もいるかもしれないが、様々な誤解が解きほぐされ、妹が生前書いていたという詩の秘密が明らかになるあたり、かなりグッとくるいい話だった。
本編である「きえないこころ」以外にも、「6枚の犯行」「亡煙を探せ!」「アオイメノリュウ」「キトの夜」「四角の罠」といった携帯アプリとした配信された短編が収録されており、未プレイの自分は結構長く楽しむことができた。特に「キトの夜」は、ホセ・レアスコという異国の男と神宮寺の間に芽生える友情や、その後の二人を待ちうける運命がなんとも切なくて、大好きなエピソードだ。
陰のある登場人物たち、骨太なシナリオ、ジャズを基調とした渋い音楽など、この作品の醸し出すハードボイルドな雰囲気は素晴らしい。本格サスペンスが好きな方には、是非プレイしていただきたい。