企画展示「食べるを描く。」を観るために、一年ぶりに三鷹駅から玉川上水沿いの道を散歩しつつ、「三鷹の森ジブリ美術館」を訪れた。
ジブリ美術館の館内は相変わらず雰囲気があって素晴らしい。
玄関脇にある植木鉢にはこんなオブジェが隠されていた。こういう遊び心がある仕掛けは大好きだ。
ジブリ美術館は窓やランプも見逃せない。ジブリのキャラクターや素敵な花、かわいい動物の絵が描かれた色とりどりのステンドグラスがはめ込まれている。
地下1階のテラスには、恒例のクリスマスツリーが登場していた。
「天空の城ラピュタ」の中でパズーとシータが一緒に食べる「目玉焼きトースト」や、「魔女の宅急便」でキキがマダムに頼まれて孫娘に届けた「ニシンとカボチャのつつみ焼き」など、スタジオジブリの作品には印象的な食べ物が数多く登場する。
今回の企画展示では、本物よりも美味しそうに見え、幸せな気分にさせてくれる食事のシーンがどのように描かれているのかについて紹介されていた。
第一室ではどのようにして印象に残るシーンが描かれているかをパネルで紹介。噛み切る動作や箸さばきなど、食べるための動きをアニメーションで描くには、観察力が欠かせなことがよくわかる。
第二室では食事を作るシーンを実物大で再現。「となりのトトロ」のサツキとメイの家の台所、「天空の城ラピュタ」のタイガーモス号のキッチンなど、登場人物が食事を作る姿を想像しながら楽しむことができ面白かった。
続いては大好きなカフェ「麦わらぼうし」へ。企画展示「食べるを描く。」開催中は特別メニューが登場するとあって、今回もオープン前からすごい行列。
「麦わらぼうし」では特別メニュー以外にも、寒い冬に負けないよう彩りと温かみのあるメニューがたくさん用意されており、何を頼むか迷ってしまう。
ショップ「マンマユート」でお土産に買った、「食べるを描く。」企画展オリジナルの食玩マグネットはなかなか出来がいい。はたしてこのマグネットのような映画どおりの料理が出てくるか、期待して出来上がるのを待つ。
最初に出てきた「お城のベーコンエッグ」は「ハウルの動く城」でカルシファーが出てくる朝食シーンのメニュー。大きくカットした豚バラ肉のベーコンと、平飼いで育てられた鶏の卵をフライパンで焼き上げ、天然酵母パンのトーストと生野菜を添えたシンプルな一皿。目玉焼きトーストにして食べるのが楽しかった。
「あらしの夜のハムラーメン」はポニョと宗介が食べるリサの作ったラーメン。ベーコン、豚バラ肉、日高昆布などで作ったうまみたっぷりの醤油ダレに、自家製ブイヨンで割ったスープとちぢれ麺を合わせている。具材はシンプルにハムとうずらの卵、青ねぎ。小盛りなので、小腹がすいた時の軽めのお食事やおやつにちょうどいい。
「魔女の宅急便」でキキがマダムに頼まれて孫娘に届けた「マダムのおさかなパイ」。玉ねぎとマッシュルームの旨みが詰まったホワイトソースのグラタンの中には、素揚げしたかぼちゃとソテーしたニシン。そこに全粒粉入りの自家製のパイ生地を丁寧にかぶせ、オーブンでこんがりと色がつくまでじっくり焼いて完成。おばあちゃんが手間暇かけて作ってくれたようなやさしい味わいで美味しかった。
「ちっちゃなマダムのチョコケーキ」は「魔女の宅急便」で大奥様がキキのために焼いてくれたチョコレートケーキがモデル。チョコレート生地を生チョコで包み、さらに上からチョコソースをかけたチョコレートたっぷりの贅沢な一品。生地の中にはアクセントとしてクルミを加えていた。
満腹になったら「三鷹の森ジブリ美術館」の屋上に登り、毎回恒例のロボット兵への挨拶。
映画まで時間があったので館内をぶらぶら。男はいくつになっても、こういうものに弱い。
地下1階にある映像展示室「土星座」では宮崎駿監督が原作・脚本を手がけた短編アニメーション「パン種とタマゴ姫」を鑑賞。
麦畑が広がるヨーロッパのどこかのような場所を舞台に、身近な食材である小麦や卵が命をもって動き出す不思議なストーリー。久石譲の重厚な音楽を背景に、かわいいパン種とタマゴ姫が繰り広げる逃亡劇は見ていてとても面白かった。
作品背景や制作過程がよくわかるパンフレットもおすすめ。400円とは思えない、素晴らしい内容。
屋上の見張りロボットと受付のトトロに別れを告げ、ジブリ美術館を後にする。今回もとても楽しい時間を過ごすことができたので、また訪れたいと思う。