電子書籍の作り方、売り方

2010.12.23  渡邉達朗

電子書籍関連の仕事が今後間違いなく増えそうな感触があり、話題の作品を購入してiPhoneやiPadで読んでみたり、ネットや書籍を通じて勉強もしているのだが、なかなか全体像を掴むことができずにいた。そんな時に本書に出会ったのだが、電子書籍をとにかく作って売ってみたいと思っている人に必要な情報が端的にまとめられており、とても理解しやすく感じた。

著者は「FLOP DESIGN」というグラフィックデザイン事務所をやっておられる加藤雅士氏。図版が多く、文章も平易で分かりやすいという本書の特長は、著者がデザイナーであるという点が大きく影響しているように思う。また、SonyReaderやガラパゴスについても記載されており、情報鮮度も高いと感じた。

この本はインタラクティブなオリジナリティあふれる電子書籍アプリを作りたいという人は最初からターゲットになっていないため、iOS向け開発の話はほとんど登場しない。最初に語られているのは、出版物を作るために必要な心得。それを踏まえて、具体的な電子書籍の話に入っていく。現状どんなプラットフォームやフォーマットがあるのか、それぞれどんなアプリで作ることができるのかを具体的に説明している。Sigilだけでなく、Calibreについても触れているのは感心した。

最後にはどんな手順を踏めば各プラットフォームで販売できるのかが書かれており、現時点におけるベターなやり方を提示している点や、注意すべき事柄がきちんとまとめられていた。出版関係者に限らず、小説や漫画、ブログを本にまとめてみたい一般ユーザーにもお薦めできる良い入門書だと思う。

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2010.12.23

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