「逆転裁判5」は2013年7月25日に発売されたシリーズ初のニンテンドー3DS用ソフト。カプコンの法廷バトルアドベンチャーゲーム「逆転裁判」シリーズの第5作目にあたる。3DSのハードを活かすべくグラフィックが2Dから3Dに一新され、ダウンロードコンテンツとして追加シナリオなども用意された。
逆転裁判シリーズのディレクターであり、シナリオも担当していた巧舟が本作から関与していないと知り、購入前は不安であった。また、前作にあたる「逆転裁判4」の評判があまり良いものではなかったため、そのあたりをどう挽回するのかも気になっていた。
「逆転裁判5」のストーリーは、法廷爆破という大事件から幕を開ける。主人公が前作とは異なり、成歩堂龍一に戻された点はファンとして素直に嬉しい。所長としての貫禄も出てきており微笑ましかった。
ただ、新ヒロイン・希月心音だけでなく、前作をフォローするためか4の主人公である王泥喜法介も登場に共に調査や弁護を行うのだが、これは少々欲張りすぎたのではないだろうか。
4のキャラクターにも愛着を持ってもらえるよう、非常に配慮が行き届いた演出が施されていたのだが、主役が次々と交代してしまうためなかなか感情移入できない。王泥喜の印象はかなり改善されたが、新ヒロインは最後まで好きになれなかった。
また、難易度を下げるためか必要な箇所でしか「調べる」ことができず、直接的なヒントも多いため、以前よりやらされている感が強くなったように感じられる。今回追加されたアニメーションもあまり効果的とは感じられず、ため息のシーンはスキップできないため必要以上に鬱陶しく感じる点も残念だった。
第5話「未来への逆転」は、現代における殺害事件と7年前のUR-1号事件、そして8年前の証拠品捏造事件によってもたらされた法の暗黒時代に終止符が打たれるという内容。途中までは本当に面白かったのだが、黒幕の正体に納得できず、不満の残る終わり方となってしまった。次こそ、初期3部作を超えるような作品となることに期待したい。