帝一の國

2015.07.18  渡邉達朗

帝一の國

「帝一の國」はジャンプSQ.にて連載中の古屋兎丸による漫画。エリートを多数輩出している中高一貫制の超名門校・海帝高校を舞台に、総理大臣となり自分の国を作るという目的を持った赤場帝一が、学校の頂点である生徒会長になろうとする様を描いた学園政権闘争物語である。

不思議な魅力にあふれた作品で、読み進むうちにその独特の世界観や登場人物に惹きこまれていることに気づく。策略と駆け引き、友情に恋愛と少年誌らしい王道も外していない。古屋兎丸の端正で耽美な絵柄も、シリアスな場面なのに笑えてしまうこの作品にとてもよく合っていると感じた。

AiiA 2.5 Theater Tokyo

2014年春、この作品が喜安浩平脚本、小林顕作演出により舞台化された。キャラクターの濃さとギャグ要素の強さから原作を再現するのは難しいと思われたが、見事なキャスティングと若手俳優の渾身の演技が評価され、会場は連日満員御礼となったという。

DVD化された舞台を観てその再現度の高さに驚ろかされたので、第二章となる“學蘭歌劇「帝一の國」-決戦のマイムマイム-”をAiiA 2.5 Theater Tokyoまで観に行ってきた。

【第二章】學蘭歌劇「帝一の國」-決戦のマイムマイム-

主人公・赤場帝一役の木村了、帝一の右腕となる榊原光明役の三津谷亮、帝一のライバル的存在・大鷹弾役の入江甚儀らは、昨年上演された第一章から続投。帝一たちが所属する評議会のメンバーとなる新1年生の野々宮裕次郎役を市川知宏、女性的な外見の夢島玲役を佐藤永典、「海帝愚連隊」というチームを率いる不良・久我信士役を佐藤流司がそれぞれ演じる。白鳥美美子はダブルキャストとなっており、この日は乃木坂46の井上小百合が務めていた。

第二章では、次期生徒会長の座を氷室ローランド(冨森ジャスティン)と森園億人(大河元気)が争う学園政権闘争を軸に描かれる。いずれ生徒会長の座の禅譲を期待すべく氷室の犬として奔走する赤場帝一。第一章同様、歌やダンスに独特なセリフまわしなど、漫画のキャラクターになりきった演技は見ていて非常に面白い。

特に帝一の父・赤場譲介(大堀こういち)の硬軟織り交ぜた演技が素晴らしく、お百度参りをするシーンでは観客席が何度も爆笑の渦に包まれていた。選挙の結果を大きく揺るがすこととなるマイムマイムを踊るシーンでも、キャスト陣が客席に降りてきて踊ってくれたことでより一層の盛り上がりを見せた。

この舞台の再現度の高さは、以下公式サイトのダイジェスト映像を観ていただければ一目瞭然だと思う。これほど原作漫画に忠実な舞台も珍しいだろうから、漫画を読んで面白かった人には舞台も観て楽しんでもらえたら幸いだ。

http://www.nelke.co.jp/chanelke/teiichinokuni_digest/

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帝一の國

2015.7.18

テレビ・映画・演劇, 漫画