富山で年末年始を過ごすことに飽きたと父が言い始めたので、正月は父と二人東京で過ごすことにした。宿に選んだのは、客室から浅草寺や東京スカイツリーの眺望が楽しめる「浅草ビューホテル」。1985年、国際通り沿いに建てられた地上28階の浅草唯一となる高層ホテルである。
北陸新幹線で東京駅に到着した父をホームで出迎え、まずは「鰻 駒形 前川」丸の内店で好物の鰻を食べてもらう。
続いて丸の内や皇居周辺を案内。久しぶりに二重橋が見れたと喜んでくれた。
浅草に移動しホテルにチェックインしてから、徒歩で浅草寺周辺を散策。
仲見世通りは思ったほど混んでおらず、父と一緒にぶらぶらできてすごく楽しかった。
大晦日の夕食は浅草ビューホテル6階にある日本料理「歌留多」でいただいた。落ち着いた雰囲気の店内から、日本庭園を眺めながら本格的な日本料理の数々を楽しめる。
鰤の塩焼きと羽太の造り、天蕪・射込み手羽先・水菜ベーコンの煮物を父が美味いと言ってくれたので嬉しかった。
父と年末年始を過ごすことにした「浅草ビューホテル」は、年越しそばを提供してくれる粋なサービスがある。大晦日に食すと本年の厄を断ち切り、健康長寿・家運長命を願うといわれる縁起物。ゆく年くる年のことを父と話しながら、職人が作った天魅羅そばを食べられるのは幸せだと思った。
年末年始を過ごしている「浅草ビューホテル」26階には「スカイグリルブッフェ武藏」がある。正面にそびえ立つスカイツリーの見事な眺望を楽しみながら、工夫を凝らしたメニューや食材を楽しむことができるバイキングが大人気。季節野菜のサラダバーや、シェフがその場で焼いた出来立てオムレツも魅力。元旦の朝食をここでいただいたのだが、御節料理まで用意してあって、父と正月気分を満喫できた。
かつての江戸は水運の都。隅田川はいわば大動脈。隅田川から沢山の運河や水路が延びており、大小の船が人や物の移動を担っていた。昔に思いをはせながら水辺の娯楽と移動を同時に楽しめるのが水上バス。今朝は父を案内しながら、浅草から日の出桟橋を水上バスで往復した。隅田川クルーズを満喫してもらえてよかったのだが、補修中の橋が多い点は少し残念だった。
続いては父の希望で「柴又帝釈天」へ。寅さんゆかりの寺として広く知られている。
参道には映画「男はつらいよ」の舞台になった団子屋や焼きたてのせんべい屋、駄菓子屋などが並ぶ。草だんごの老舗「とらや」で父とぜんざいを食べられたのもいい思い出。
最後に柴又駅前にある寅さんの銅像と写真を撮り、ご満悦の父を見て自分まで嬉しくなった。
最後は父が西郷さんの銅像を見たいというので上野へ。
美術館や博物館は元旦だとどこも休みなので、また別の機会に来ようねと話しながら上野恩賜公園を散策。
上野東照宮を訪れたところ、ちょうど元旦から「第三十七回 上野東照宮 冬ぼたん」が開園していた。色鮮やかに咲くボタンの花々を二人で見ながら、華やかな新年のひと時を穏やかに過ごした。
東京散策に疲れたので、浅草ビューホテルに戻りラウンジでしばし休憩。情緒あふれる下町のイメージとホテルのラグジュアリー感の共存がコンセプトのこちら。日本の伝統技術である組子格子を現代風にアレンジした内装とホテルならではの重厚で上質な調度品が並ぶ空間は居心地がいい。スパークリングワインもこういうところで飲むとより美味しく感じる。
浅草ビューホテルの1階、メインエントランスに店を構える「GRILL DINING 薪火」。落ち着いた雰囲気の空間でひときわ目を引くのは、店内中央に配置された薪火窯。欧米を中心に注目を集めている「薪火料理」の魅力に出会える。
薪火を使用した火入れ調理法は、天然の遠赤外線で均等に火が伝わることで素材のうまみや甘みを存分に引き出し、薪の香りや燻香によって風味もアップ。紅白の二色のソースで楽しめる真鯛の薪火焼きは焼き加減が素晴らしく、この夜一番のお気に入り。
牛努のポタージュスープと、トリュフ塩でいただくサーロイン肉の熾き火焼きを、父が美味しいと言ってくれたのはすごく嬉しかった。
最後にいただいた抹茶のプリュレとほうじ茶のソルべも絶品。元旦の夜も父や妻と楽しい時間を過ごすことができた。
浅草ビューホテルで父と迎えた3日目。朝食は6階にある日本料理「歌留多」でいただいた。落ち着いた雰囲気の店内から、日本庭園を眺めながら本格的な日本料理を楽しめる。味噌汁がお雑煮になっていたり、途中で獅子舞がやってきたりと、正月気分を高めてくれた。
父が富山へ帰る時間が来たので、東京駅の新幹線ホームまで見送りに行く。年末年始を一緒に過ごしたあとはいつも名残惜しい気持ちになるが、今年はやたら感謝されて照れくさかった。また時間を工面して近々富山へ帰るからと伝えると、次は温泉旅行がいいと新しいお題が出されてしまった。またいいところを探さなければ。