週末は下呂温泉・白川郷旅行へ。まずは東海道新幹線のぞみに乗り名古屋に向かう。
車中のお供は、創業明治20年のかつお節工房「やまじゅう」こだわりの逸品「籠かつを飯」。上品な味わいのおかか入り鰹だし飯は絶品。鶏肉の塩こうじ焼き、田舎風玉子焼、乱切り筍手火山煮などおかずも美味しかった。
名古屋駅のホームにある立ち食いきしめんの有名店「住よし」。ムロアジをベースにしたダシをお店ごとにとっており、ダシの配合やかえしの調合は創業当時から変わらない。在来線ホームの店舗は新幹線ホームよりのんびりしており、メニューも豊富。なんといっても天ぷらが揚げたてなのが素晴らしい。
人気は「きしめん」と「かき揚げきしめん」の他に、玉子入りのきしめん。在来線ホーム店限定の「ワンコインきしめん」は海老天と玉子が入っているお得版ですごく美味しかった。
ワイドビューひだ9号に乗車し、美濃太田へ向かう。
普通列車に乗り換えると、より旅の風情が増す。
加茂郡川辺町にある「CAFE LUCE」はこだわりのパスタを提供するイタリアン。パスタはすべてオリジナル。オーダーが入ってから茹で上げ、作り置きは一切しない。一番人気はしいたけブラザーズの原木しいたけを使った「しいたけごろごろパスタ」。
予想外にクリームソーダも美味しくて驚かされた。
無人駅で次の電車をボーっと待つ時間は旅ならでは。
下呂の街並みを眼下に望む、敷地5万坪の格式ある温泉旅館「下呂温泉 湯之島館」。昭和6年創業当時のままの玄関・渡り廊下・木造三階建ての本館は登録有形文化財に指定されており、今回はその本館の部屋に泊まることにした。
フロアごとに廊下の長さや部屋の配置が異なり、迷路みたいな館内は見どころ満載。四季折々の豊かな自然に囲まれた環境は、数ある下呂温泉のホテルの中でも突出している。
重層する屋根伏せと黒漆喰塗の外壁が重厚な雰囲気を醸し出す、凛とした佇まいの玄関。左手にフロント、右手に応接ロビーがある。
中央に囲炉裏を切り、北山丸太の柱、竹の長押、折上天井など、意匠を凝らした造作に囲まれた空間は、昭和レトロへのプロローグとなっていた。
木造建築の集大成とも言える本館は、当時新鋭の建築家であった丹羽英二が設計を手掛けた。数寄屋造りの客室をメインに、欄間や襖、柱にいたるまで当時の贅をつくし、居心地の良さを追求。庭園の樹齢数百年の杉や桧と共存し、今もその風貌を維持している。
飛騨の匠の技と昭和ロマンを堪能できる登録有形文化財の部屋は、簡素でありながら品位が感じられる。
特に部屋の二面が採光部になっているので大変明るく、最上階なので眺めも素晴らしい点は最高だった。
本館3階を奥に進み、貴賓室へ向かう途中に、下呂温泉街を一望できる展望台がある。昼は下呂温泉の町並みや飛騨の山々と爽やかに流れる飛騨川を、夜には夜景を楽しむことができる。創業者がこの地を選んだ意図の一端が伺える景色だ。
湯量豊富な温泉は下呂の源泉をそのまま利用。大浴場や露天風呂はもちろんのこと、客室のシャワーや内湯まで源泉100%を供給してくれており、下呂の名湯を心ゆくまで堪能できる。
展望露天風呂「山渓之湯」「飛山之湯」では、雄大な自然と美しい木々に囲まれた「湯之島館」ならではの景色をたっぷりと楽しめる。「銀嶺泉」「不老泉」「七宝泉」「玉ノ井泉」という4つの家族風呂は無料で利用可能。創業当初のままなので、昭和レトロ感が満載で楽しい。
24時間いつでも利用できる「山の足湯」は、ふらっと立ち寄れるようにタオルも完備。「湯之島館」の風情溢れる佇まいを眺めながら、ゆったりとした時間の流れを満喫した。
ビリヤードや卓球場、クラブやリラクゼーション施設のある娯楽棟も風情があってたまらない魅力に溢れている。
本館以外の新館、別館、深山荘、娯楽棟である洋館に至るまで、館内をただ見て回るだけでも楽しめる「湯之島館」では、館内探訪スタンプラリーなるものを常時開催中。館内8か所に設置されているスタンプをすべて押印すると、食事コーナーやルームサービスで特典が受けられる。
昭和6年の創業以来、味と伝統を守り続けてきた「湯之島館」。夕食は情緒あふれる客室で雰囲気を味わいながら食事も楽しめるよう、全室部屋出しとなっている。
食前酒は栗酒。
先付はかぼちゃ風味の胡麻豆腐。
八寸は大鱒の昆布〆マリネ、塩炒り銀杏、塩蒸し零余子、丸十オレンジ煮、菊菜のお浸し、炙り栗の白和え。
吸物はもろこし真薯、炙り帆立、隠元、柚子。
造里は間八、鮪、生湯葉。
進肴は初秋の朴葉焼寿司、飛騨牛変わり寿司、茄子浅漬け、茎蓮根。
焼物は鮎塩焼、青唐、山葵味噌。
名物は飛騨牛サーロインの味しゃぶ、旬の野菜色々。トマトが入っているのが面白く、飛騨牛が絶品だった。
箸休にジェラートをいただいた後、里芋饅頭あられ揚げ菊花餡掛け、ひたし豆、葉唐辛子の蓋物。
御飯は厳選こしひかり。香物は田舎漬け二種盛り。止椀は網茸の袱紗仕立。これもめっぽう美味くてお代わりしてしまった。
甘味は季節の果物、湯之島館黒蜜ゼリー。
飛騨地方の地酒「吟」「伍匠」「天涼」の利き酒セットなども頼んだりして、楽しいひとときを過ごした。
「湯之島館」にいると、天皇陛下がご宿泊されたことがあるという話を聞いても驚かないほど、日常とかけ離れた時間が流れていると感じる。
昭和6年の創業以来、ずっと増改築を続けてきた「湯之島館」。いびつに感じるほど複雑に重なった瓦屋根や、曲がった空中回廊など、館の中を彷徨うのがたまらなく楽しい。
「下呂温泉 湯之島館」で迎えた朝はすごく爽やか。寝ている間に雨が降ったようだが、朝には止んでいたので、下呂の街並みを眺めつつ入る朝風呂も最高だった。
5万坪の広大な湯之島山(下呂富士)の中腹を切り開き、自然との調和をテーマに建設された「湯之島館」は、建屋ばかりでなく樹齢数百年の杉や檜を大切にし、活かしながら造園している。人工的に過ぎることのない中庭もそのひとつで、四季折々、木々の彩りや花々を楽しむことができる。
玄関前にある赤いポストの存在感が強烈。
朝食は、新館8階大広間「鶴之間」で創業当初より変わらぬ日本旅館らしい食事をいただく。飛騨産のこしひかり、寄せ豆腐生姜餡かけ、香り豊かな「朴葉味噌」など体に優しい食事で美味しかった。
楽しかった「下呂温泉 湯之島館」に名残りを惜しみつつ、特急ひだ3号に乗り高山へ。
高山駅に到着。すこぶるいい天気で暑いくらい。
旧高山市中心部は江戸時代以来の城下町・商家町の姿が保全されており、その景観から「小京都」と呼ばれている。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているだけあって、低い軒に紅殻格子の町家が整然と連なっており美しい。
高山駅にある「i-cafe」は旅人のためのインフォメーションカフェ。今日いただいたのは「飛騨牛黒カレー」と「飛騨の天然水サイダー」。カレーが意外と本格的で美味しく、後味がスッキリした「飛騨高山 まんてん泡水」はとても爽やかで乾いた喉を潤してくれた。
世界遺産に登録されている「合掌造り集落」で有名な白川郷に到着。
国指定重要文化財の和田家。築後約300年が経過した今も生活が営まれ続けているそう。白川郷の代表的茅葺き合掌造り住宅であり、萩町合掌集落で最大規模を誇る。
白川郷ではあちこちで懐かしくも美しい日本の原風景が楽しめる。
ご当地ものになりやすいラーメン、世界遺産・白川郷にも「白楽」がある。昔ながらの濃い目の味付けに「老田屋」の細打ち縮れ麺の組み合わせが絶品。こんな美味しいラーメンが、観光地なのに650円で食べられて嬉しかった。
今夜の宿は世界遺産・白川郷で唯一の宿泊施設を備えた温泉「白川郷の湯」。バスターミナルから徒歩1分という好立地にあり、観光の拠点としても利用しやすい。
景観に配慮して目立たない外観をしているが、内部は檜材をふんだんに使っており木のぬくもりが感じられる。
露天風呂からは白山連峰や合掌集落、眼下に流れる庄川を眺めることができ、散策の疲れを癒してくれた。畳の湯上り処も居心地がよく、テラスから白川郷の四季折々の風景を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができる。
夕食は飛騨牛カットステーキや地産の山菜など、山の幸をふんだんに使った懐石料理。
岩魚の塩焼きや地元郷土料理の鶏ちゃんなど、オプションメニューも豊富で美味しかった。
白川郷の夜はとても暗く、自分たち以外に誰も歩く人のいない村はまるで異世界のようで楽しい。合掌造りの家から漏れる灯は幻想的で、暗さに目が慣れてくると星がどんどん浮かび上がってきた。
庄川のせせらぎを聴きながら迎えた「白川郷の湯」での朝は爽やか。朝風呂でスッキリした後は、白川郷合掌造り集落の散策へ。
誰も歩いていない早朝の白川郷は、昨夜とは違った意味で異世界のよう。合掌造り集落の控えめな佇まいが心に沁みた。
朝食は夕食と同じく、食事処「与ぜ」で焼き魚や朴葉味噌をいただく。窓から見える緑が大変美しく、楽しいひとときを過ごした。
白山山麓の自然を背景とした、世界遺産・白川郷合掌造り集落の美しい景観に名残を惜しみつつ、高速バスに乗り金沢へ向かう。
金沢駅に到着したら、ひがし茶屋街までタクシーで移動。
ひがし茶屋街のメインストリートにある人気甘味処「久連波」。安永5年創業の老舗呉服店「ゑり虎」が運営しており、茶房としてだけでなく、加賀友禅の着付け体験も可能。町家を改装した店内は伝統的な佇まいを色濃く残していた。
1Fは加賀友禅のギャラリー。2Fの座敷からはひがし茶屋街の通りを一望できる。
今日いただいた「金沢ほうじ茶ソフトクリーム」や「ほうじ茶パフェ」は上品な甘さが美味。
「茶そば」もいただきつつ、情緒漂う空間でのんびりとした時間を過ごすことができた。
金沢駅構内にある地酒専門店「金沢地酒蔵」。金沢のみならず石川県内の酒蔵全35社の地酒がすべて揃う。今日いただいたのはおすすめ3種類の銘柄を飲み比べができる「加賀セット」。新幹線に乗るまでの僅かな時間だが、おつまみと美味しい地酒を楽しんだ。