「おぎのや」といえば「峠の釜めし」で有名だが、軽井沢駅構内にある立ち食いそば屋は日本最古の駅そばという説がある。
特徴的なのは茹で置きではなく生麺を使用し、茹でたてのものを提供していること。そのぶん時間がかかるのだが、コシがしっかりとしており喉越しも良く美味しかった。
1827年に信州小諸で味噌蔵として創業し、味噌や醤油をはじめ和の調味料で知られる「酢重正之商店」。今夜は奥さんの誕生日を祝うべく、旧軽井沢にある直営レストランで夕食をいただくことにした。
メインに選んだのは肉厚な信州豚と木の子の生姜焼き。特製の銅釜でふっくら炊き上げたごはんや、白こがね味噌を使用した味噌汁との相性は抜群。
柑橘系のフレッシュな香りが特徴の「軽井沢よなよなエール」も程よい苦みが心地よい。
角煮と野菜がたっぷり入った「肉じゃが」の味付けも好みで最後まで美味しくいただいた。
久しぶりの軽井沢滞在で宿に選んだのは、旧軽銀座に面した老舗旅館「軽井沢つるや旅館」。
江戸時代初期に中山道の宿場町・軽井沢宿の休泊茶屋「旅籠鶴屋」として開業。明治時代に入り、宣教師たちが軽井沢を訪れるようになると旅館業に転じた。以降、芥川龍之介、室生犀星、堀辰雄ら多くの文人たちが常宿としている。
本館と別館を隔てる中庭は堀辰雄の小説「美しい村」にも登場。
昭和初期の家具や調度品に懐かしい空気が漂い、日々の喧騒から離れ館内は静かに時が流れていく。
石造りの大浴場はミネラルを多く含む軽井沢の天然水を使用。2回利用したがどちらも一人貸し切り状態で、広々した湯船をゆったり満喫できた。
和食・洋食が選べる朝食は地元の美味しいものを味わえるのが嬉しい。ジョン・レノンが愛したフランスベーカリーのパンを食べると軽井沢に来たなと感じる。
今回の旧軽井沢滞在は混雑を避け、人通りの少ない別荘地を好んで歩いている。この道で合っているのか不安になるような場所もあったりして楽しい。そんな旅路で立ち寄ったのが犀星の道沿いにひっそり佇む「旧軽井沢Cafe涼の音」。
室生犀星記念館の向かいにあり、まさに隠れ家といった風情が素敵だ。登録有形文化財の別荘建築をリノベーションしたベンガラ色の趣きある建物が目印。元内閣総理大臣・松方正義の孫娘や作家・森瑶子が使用していたのだとか。軽井沢らしい景色を眺めながらゆったりと過ごせるテラス席も心地よい。
急に気温が上がり暑かったので、ブルーレモネードをいただいてリフレッシュした。