東京ステーションホテル

2017.05.07  渡邉達朗

東京ステーションホテル
KITTEの屋上庭園から望む「東京ステーションホテル」の夜景は何度観ても最高だ。国の重要文化財である赤レンガ造りの「東京駅丸の内駅舎」に宿泊できる唯一のホテルであり、ここに泊まること自体が旅の目的と言われるほど熱狂的なファンも多い。今夜はここに泊まることができるかと思うと、とても気分が高揚した。

東京ステーションホテル
東京駅開業の翌年である1915年に東京ステーションホテル開業。1923年の関東大震災では、数々のホテルが倒壊・焼失するなかで多くの避難者を受け入れた。幾多の文人にも愛され、江戸川乱歩の「怪人二十面相」ではホテルが舞台に。内田百閒や川端康成、松本清張らは幾度も滞在し執筆したといわれている。

東京ステーションホテル
2006年からは東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事とともに一時休館したが、全施設を改装し2012年10月3日に再び開業。1階と2階が保存エリア、3階は復元エリア、駅舎の屋根裏を一部4階とした。大正時代からおよそ100年の歴史と伝統が息づく場所でありながら、現代のホテルに求められる機能性も満たしている。

東京ステーションホテル 廊下
ターミナル駅の真横に位置する東京ステーションホテルの特徴として、ウナギの寝床のように細長い廊下が挙げられる。

東京ステーションホテル 廊下
列車のように長い廊下の壁には、東京駅にまつわる写真や絵が100点以上飾られており、まるでギャラリーのようだった。

東京ステーションホテル 廊下
宿泊した部屋のすぐそばに飾られていた、松本清張が書いた時刻表トリックの傑作「点と線」の連載第1回と、当時の東京駅の時刻表という2つの額は気が利いていて好きだ。

東京ステーションホテル 部屋
部屋に入って、まず驚かされるのが天井の高さ。2階で約3.7m、3階で約3.0m、ドームサイドでは約4.0mもある。さらに英国のインテリアデザイン会社を起用し、欧州のクラシックスタイルで仕上げられている。

東京ステーションホテル 部屋
東京ステーションホテルは文豪がよく訪れていたことから、メモ用紙を原稿用紙のデザインにしている。こういう小物への心遣いは楽しいものだ。

東京ステーションホテル 部屋
ピカピカに磨かれたグラスなど、部屋の設備が行き届いている点も嬉しい。

東京ステーションホテル 部屋
アメニティも設備も申し分ないもので、快適なバスタイムを過ごすことができた。

東京ステーションホテル ドーム
両翼のドームの飾りエンブレムは十二支の動物たち。ホテル内の両翼にそれを間近に見ることができる小部屋がしつらえてあり、そこには東京駅改築工事の記録や歴史などの説明プレートが掛けられていた。

東京ステーションホテル とらや
ホテル内に老舗和菓子店「とらや」があるのも便利すぎる。ついつい限定の甘味を買ってしまった。

東京ステーションホテル
ホテルからぶらり散歩に出かけようとすると、ハッと息を飲む美しさ。やはりこの建物は夜観るに限る。

東京ステーションホテル ルームサービス
東京ステーションホテルのダイニングでは、他国のビーフを使っていないという。具材として入る肉はなんとすべてが黒毛和牛。それだけにルームサービスで頼んだステーキカレーは、夜食にはもったいないくらいの素晴らしい味わいだった。

東京ステーションホテル
東京ステーションホテルで迎える爽やかな朝。東京駅丸の内駅舎の中央最上階に位置するホテル宿泊者専用の朝食ラウンジ「アトリウム」へ向かう。

東京ステーションホテル アトリウム
このアトリウムは2012年の改装まで利用されていなかった。しかし、戦争で焼失していた駅舎の一部を復元してホテルエリアが広がった結果、朝食を提供できる広さを確保する目的で、屋根裏部屋を宿泊客が利用できる場所に改装したのだという。

東京ステーションホテル アトリウム
文化庁に許可を得て天井の一部をガラスに変更した結果、光の降り注ぐ広々とした場所に生まれ変わったアトリウム。最大天井高9mの開放的な空間で、日の光を感じながら一日のスタートを切ることができる。

東京ステーションホテル アトリウム
宿泊者しか食べられないという特別感もあり、朝食目当てにリピートする客もいるという朝食は和洋のビュッフェ形式。100年前に職人が積み上げた赤レンガが所々見えているのもいい。

東京ステーションホテル アトリウム
目の前で調理してくれるオムレツは、ホテル伝統のビーフシチューソースなど3種類から選択可能。ふわふわトロトロですごく美味しかった。

東京ステーションホテル アトリウム
半熟卵を使うエッグベネディクトもシェフが調理してくれる。アトリウムオリジナルの「クロックムッシュにエッグベネディクトをのせて」は、バルサミコ酢のソースがいいアクセントになっていた。

東京ステーションホテル アトリウム
この他にも契約農場から届く野菜のサラダバーや魚介のマリネ、ハム、ベーコン、チーズと多種多彩。和食コーナーには白米に加え季節の炊き込みご飯があり、焼き魚や煮物はもちろん、新鮮な魚やイクラなどビュッフェではあまり見かけない食材もそろっていた。

東京ステーションホテル アトリウム
本日のデザートは「グレープフルーツのムース」。メロンやイチゴなどのフルーツもいただくともうお腹いっぱい。スタッフのサービスも素晴らしく、東京ステーションホテルの朝食が高く評価されている理由がよく理解できた。

東京ステーションホテル
東京ステーションホテルで過ごした一夜は、たくさんの人が行き交う東京駅に隣接しているとは思えぬほど静かで安らかなものだった。機会があれば、ぜひまた泊まってみたいと思う。

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東京ステーションホテル

2017.5.7

バイキング, 旅行・観光, 東京