「ケイゾク」は警察内部で“迷宮入り事件”を指す用語。現在も鋭意“継続”捜査中であるという事に由来している。本作はケイゾクを担当する警視庁捜査一課弐係に配属された、東大卒のキャリア警察官僚・柴田純(中谷美紀)と、元公安の叩き上げ刑事・真山徹(渡部篤郎)が難事件を解決していくミステリードラマ。
当初はコメディー要素の強い話が多いのだが、シリーズ後半では真山と快楽殺人犯・朝倉との因縁を巡る物語をシリアスに展開させている。これまでの刑事ドラマと比べ一風変わった雰囲気を醸し出しており、堤幸彦によるユーモアたっぷりの演出スタイルは新鮮さと特異性に溢れていた。
野口五郎の怪演はぜひ観ていただきたいのだが、この作品で一番好きなのは柴田と真山コンビの絶妙な掛け合いだ。頭がいいのに天然ボケをかます柴田に、厳しくツッコミを入れる真山。息のあった二人のやりとりは見ていて実に気持ちがいい。
中谷美紀が歌う「クロニック・ラヴ」が使用されたオープニングも良かった。坂本龍一の楽曲「Ballet Mechanique」をカバーしたもので、フラッシュバッグ映像を利用して各話のヒントが隠してあるというもの。退廃的な映像美とサイコな雰囲気が素晴らしい。
衝撃のラストに向けてどんどんテンションが上がるストーリーは、続きが気になること請け合いだ。最終話を観た後に激しい喪失感を覚えるほどの、近年稀にみる傑作だと思う。