横溝正史が生み出した名探偵・金田一耕助が登場する小説を次々と読むうちに、それぞれの事件の前後関係が気になってきたので、金田一の足跡を年表形式で整理してみた。
事件の発生年は作中の表記を元に記載しているが、具体的な記述のないものは登場人物や金田一の住まい、事件の前後関係など整合性を考慮しながら並べている。また、ジュブナイル作品については基本的に発表年の前年に事件が起きたものとしてまとめた。
事件名はそれぞれの収録作品にリンクをつけたので、個別の感想はそちらをお読みいただきたい。
大正2年(1913年):0歳
- 東北地方に生まれる。
昭和6年(1931年):18歳
- 中学を卒業後、同窓の風間俊六と共に上京。某私立大学に籍を置き、神田で下宿生活を始める。
昭和7年(1932年):19歳
- 入学後一年もたたぬうちに日本の大学がつまらなくなりアメリカへ渡る。当時は禁酒法の時代で麻薬が流行しており、金田一も一時その風潮に染まった。
- サンフランシスコの日本人街で起こった殺人事件を解決した際、岡山の果樹園主である久保銀造と出会う。これをきっかけに麻薬を卒業し、銀造の援助を受けカレッジを卒業する。
昭和10年(1935年):22歳
- 帰国後、久保銀造に五千円無心して東京で探偵事務所を開設。しばらくは閑古鳥だったが、半年後に全国を騒がせていた重大事件を解決し一躍有名になる。
昭和12年(1937年):24歳
- 大阪で起きていた難解な事件を解決した後、岡山の久保銀造を訪ねる。
- 11月下旬に一柳家で起きた「本陣殺人事件」を久保銀造の依頼で解決。この事件で岡山県警の磯川警部と知り合う。
昭和15年(1940年):27歳
- 日中戦争に召集され、中国に出征する。
昭和17年(1942年):29歳
- 最初の二年間は大陸にいたが、その後は南の島から島へと送られる。部隊が全滅にひとしい打撃を受けて敗走した後、他の部隊との編成替えにより鬼頭千万太や川地謙三と知り合う。
昭和18年(1943年):30歳
- 敵の後方ふかく取り残された耕助たちは、友軍との連絡もなく、暗澹たる日々を雑草とたたかってくらした。戦友は熱病と栄養失調とで次々とたおれていき、生き残った連中はいよいよ絶望感にむしばまれていく。
昭和20年(1945年):32歳
- ニューギニアのウエワクにて終戦。
昭和21年(1946年):33歳
- あと五、六日で故国の土を踏めるという復員船のなかで、戦友の鬼頭千万太は死んでしまう。
- 9月上旬、戦友の川地謙三から託された使命を果たすため市ヶ谷へ。三年前に起こった佐伯由美をめぐる男たちの毒殺事件「百日紅の下にて」の真相を暴く。これが復員後に解決した初の事件となった。
- 9月下旬、戦友だった鬼頭千万太の死を伝えるべく瀬戸内海の獄門島へ。「獄門島」で起きた連続殺人事件を解決する際に鬼頭早苗と知り合い、一緒に東京へ行こうと申し込むが断られる。
- 10月中旬、獄門島からの帰りがけ本位田家に立ち寄り、腹違いの兄弟が戦争で入れ替わるという「車井戸はなぜ軋る」事件を再調査する。
- 秋の終わりごろ、疎開先の岡山県吉備郡岡田村字桜にいた探偵作家・Yを訪ね、伝記作家として親交を持つ。
- 11月、帰京する汽車の中で風間俊六と再会。京橋(銀座裏)の三角ビル5階に金田一耕助探偵事務所を開設し、銀座のエビス屋百貨店で万引きをしていた「黒蘭姫」を巡る殺人事件を解決する。
昭和22年(1947年):34歳
- 探偵事務所を三か月ばかりで閉めてしまい、風間俊六が愛人節子に女将をさせている割烹旅館「松月」の離れに転がり込む。
- 3月、東銀座のキャバレーで撃たれ記憶を失った銀行強盗と謎の言葉を巡る「暗闇の中の猫(原題「暗闇の中にひそむ猫」)」事件を解決。この事件で警視庁の等々力警部と知り合う。
- 3月下旬、銀座にあるバー「黒猫」の庭で発見された、顔のない屍体を巡る「黒猫亭事件(原題「黒猫」)」を解決する。
- 4月、探偵小説家・八代竜介がまきこまれた連続殺人事件「殺人鬼」を解決。
- アパートの隣人・湯浅順平が書いた小説の中で殺人犯の汚名を着せられ、その小説どおりに起きた殺人事件「蝙蝠と蛞蝓」を解決する。
- 8月下旬~10月 ジュブナイル「怪獣男爵」(等々力警部のみ登場)
- 9月下旬、天銀堂事件の容疑をかけられ自殺した椿元子爵の娘・美禰子から依頼を受け、「悪魔が来りて笛を吹く」事件を調査し解決に導く。
昭和23年(1948年):35歳
- 2月 ジュブナイル「夜光怪人」(山村正夫が探偵役を由利麟太郎から金田一耕助に改作)
- 5月上旬、旧家の娘・古神八千代の夢遊病と佝僂画家狙撃事件に端を発する首なし連続殺人「夜歩く」を解決。岡山県鬼首村では磯川警部と再開した。
- 5月中旬、大正時代に大量殺人事件が起きた岡山県の八つ墓村で再び発生した「八つ墓村」連続殺人事件の調査に着手し、9月に解決する。
- 事件を次々と解決し多額の報酬を得た金田一は、探偵譚を書いてもらっている先生を誘い、伊豆の鄙びた温泉場にしばし逗留する。
- 9月上旬、伊豆のN温泉で遭遇した墓場荒らしの事件「女怪」を解決。この事件に登場する未亡人・持田虹子に金田一は思いを寄せるが、虹子は自殺してしまう。
- 10月上旬、八つ墓村からの帰りに立ち寄った岡山県警で磯川警部からデス・マスクにまつわる話を聞き、東京の川島女子学園で起きた「死仮面」事件の調査に乗り出す。この時期は松月建て替えのため、三角ビルの事務所を再利用していた。
昭和24年(1949年):36歳
- 「女怪」事件で受けた失恋の痛手を癒やすため、ひと月ほど北海道を放浪。
- 2月 ジュブナイル「謎の五十銭銀貨」(等々力警部のみ登場)
- 9月中旬、磯川警部と静養に訪れた岡山の湯治場で、奇怪な遺書を残し自殺を企てた夢遊病の女性に遭遇。彼女の腋の下に現れた「人面瘡」にまつわる事件を解決する。
- 10月中旬、信州財界の大物・犬神佐兵衛の莫大な遺産を巡る「犬神家の一族」連続殺人事件の調査依頼を受け、12月に解決する。
- 11月上旬、磯川警部に紹介された岡山の湯治場で、3年前に起きた謎の失踪事件「鴉」を解決。
昭和25年(1950年):37歳
昭和26年(1951年):38歳
- 3月下旬 ジュブナイル「仮面城」
- 5月上旬、伊豆の沖にある月琴島で育った大道寺智子の護衛を依頼された金田一は、東京で発生した「女王蜂」連続殺人事件の調査に乗り出し、翌月解決する。
- 7月上旬~中旬 ジュブナイル「金色の魔術師」
- 7月下旬 ジュブナイル「燈台島の怪」
昭和27年(1952年):39歳
- 7月下旬、人気役者であり金田一の親友でもあった佐野川鶴之助の17回忌追善興行中に発生した「幽霊座」事件を解決する。
- 9月上旬~10月中旬 ジュブナイル「黄金の指紋(原題「皇帝の燭台」)」
- 10月中旬、磯川警部を訪ねた金田一は、岡山県の山間部にある僻村で起きた奇妙な失踪事件「湖泥」の捜査にまきこまれる。
- 11月上旬、病死した妻の死体を弄んでいた画家による警官刺殺事件を発端とする「睡れる花嫁(原題「妖獣」)」事件の調査に着手。翌年1月に解決する。
昭和28年(1953年):40歳
- 1月~10月 ジュブナイル「蝋面博士」(山村正夫が探偵役を三津木俊助から金田一耕助に改作)
- 6月中旬、東京郊外にある花乃屋旅館で起きたヌードモデル殺人事件「花園の悪魔」を解決。
- 7月中旬、23年前に殺人があった信州の鍾乳洞で、再び発生した「不死蝶」連続殺人事件の謎を追い、9月に解決する。
- 8月下旬、本條写真館の跡継ぎ・直吉の依頼で、明治から戦前まで盛隆を極めた法眼家の旧邸で起きた「病院坂の首縊りの家」事件を調査するも迷宮入りとなる。
- 9月上旬、東京・杉並のアトリエで発見された美少年の腐乱死体にまつわる「生ける死仮面」事件を解決する。
昭和29年(1954年):41歳
- 3月下旬、「幽霊男」と名乗る不気味な男が巻き起こしたヌードモデル連続殺人事件の調査を依頼され、5月下旬に卑劣極まりない犯人の正体を暴き出す。
- 5月中旬、トラックが落とした石膏像の中から人気ストリッパーの死体が発見された「堕ちたる天女」事件を解決。この事件で金田一の相棒といえる等々力警部と磯川警部の初顔合わせが実現している。
- 5月下旬、等々力警部の依頼を受け、東京・成城で発生した「壺中美人」事件を解決する。
- 5月末、信州那須市へ静養に来た金田一は、犬神家の事件で世話になった橘署長と再会。案内された奇妙な家で「廃園の鬼」事件に遭遇する。
- 6月中旬、話題の女霊媒師・宇賀神薬子が全身傷だらけで殺されているのを散歩中の小説家が発見し、老舗呉服店の令嬢が容疑者とされた「迷路の花嫁」事件を調査。10月中旬に解決。
- 7月下旬、「スペードの女王」の入れ墨を持つ若い女の首なし死体にまつわる事件を調査し、翌月解決する。
- 8月下旬、静養で久保銀造の果樹園を訪れた金田一は、銀造の友人が建てた竜宮城のような豪邸で「蜃気楼島の情熱」事件にまきこまれる。
- 10月下旬、大阪で起きた事件の解決後、静養のため磯川警部とともに岡山県境の湯治場「熊の湯」に逗留。磯川警部の目論見どおり、映画監督が殺された「首」事件の真相究明に駆り出される。
昭和30年(1955年):42歳
- 7月下旬、静養のため磯川警部とともに岡山県・鬼首村の温泉宿「亀の湯」を訪問。磯川警部の依頼により、23年前に迷宮入りした殺人事件の捜査に着手。「悪魔の手毬唄」事件に隠された真実を明らかにし、ボロボロになった磯川警部と金田一は短い旅をする。
- 10月上旬、東京・日比谷の国際ホテルで連続殺人事件が発生。遠縁に当たる佐竹玄蔵老人から百億円近い遺産を相続することになった宮本音禰を巡る「三つ首塔」事件の調査に乗り出す。翌年2月に解決。
- 10月下旬、人気服飾デザイナー浅茅文代の専属モデルが次々と殺されていく「吸血蛾」事件の調査を依頼される。翌年1月下旬に解決。
- クリスマスの時期に、東京・西銀座にある人けのない路地で殺人事件を目撃したかもしれないという女性から相談され、「扉の影の女(原題「扉のかげの女」)」事件を調査する。
昭和31年(1956年):43歳
- 3月上旬、法医学の天才博士が身元不詳の白骨死体に蠟で肉付けした「蝋美人」事件の謎を解明する。
- 3月上旬、東京の高級住宅街・緑ヶ丘町一帯に舞い込んだ、黄金の矢と名乗る謎の人物からの密告状にまつわる「毒の矢」事件を解決。
- 3月中旬、日本中で「黒い翼」と呼ばれる不幸の手紙が大流行する。一年前に不可解な死を遂げたスター女優の一周忌パーティに呼ばれた金田一は、そこで起きた殺人事件を解決に導く。
- 3月下旬、神奈川・片瀬に住む考古学者・古館博士が開催した愛娘早苗の婿選びで、ろくでなしの候補者たちが次々と命を落とす「死神の矢」事件を解決する。
- 7月末、百円紙幣の贋造事件が蔓延るなか、姉と同じように殺された夢見る夢子さんの敵を討つべく「夢の中の女(原題「黒衣の女」)」事件の謎を解く。
- 8月上旬、東京近郊にある鏡が浦海水浴場で、金田一と等々力警部が美人コンクールの審査員を務める中で発生した「鏡が浦の殺人」を解決。
- 8月末、鏡ガ浦海水浴場で昼寝をしていた金田一が、目の前にあるビーチパラソルの中で行われた殺人を見逃す大失態を犯してしまう「傘の中の女」事件の謎を解明。
- 9月、本牧にある臨海荘で開催されたパーティで、美しい女主人・高杉奈々子が惨殺された「華やかな野獣」事件を、ボーイに変装し潜入していた金田一が解決する。
- 秋、東京・緑が丘に住むロビンソン夫妻の送別パーティに、アメリカ時代の友人であるジャック安永と参加。そこで発生した「女の決闘(原題「憑かれた女」)」事件にまきこまれ、翌年1月末に解決する。
- 娼婦となり殺人犯の烙印まで押された聖女・美沙と、執拗に付きまとう醜い上級生りん子にまつわる「七つの仮面」事件にまきこまれる。
- 11月上旬、銀座の老舗宝飾店で起きた「霧の中の女」による強盗殺人事件の謎を解き明かす。
- 11月下旬、隅田川の河岸に建つ聚楽荘というアパートで、死体の生首だけが発見された「トランプ台上の首」事件が発生。犯人があえて首の方だけを残した理由を究明する。
昭和32年(1957年):44歳
- 1月中旬、割烹旅館「松月」の離れから世田谷区緑ヶ丘町の高級アパート・緑ヶ丘荘の二階三号室に転居。
- 3月上旬、探偵作家・川崎龍二の仕事場で目撃された女性の死体が忽然と消えてしまう「泥の中の女(原題「泥の中の顔」)」事件の謎を暴く。
- 3月下旬、東京・経堂にあるキャバレーの経営者が住んでいた家の庭先で、ケヤキの洞を埋めたコンクリートから女性の全裸死体が発見される「洞の中の女」事件を解決。
- 4月上旬、自動車のトランクから女の片脚が突き出しているのを目撃されたことに端を発する「鞄の中の女」事件を調査し、翌月解決する。
- 5月上旬、銀座のカフェで金田一と同席していた増本女史が、「鏡の中の女」の殺人に関する会話を読唇術で読みとる。やがてその言葉どおり殺人事件が起きてしまうが、金田一が犯人と意外すぎる動機を解明。
- 5月上旬、奇怪な手紙を受け取った金田一は浅草六区のレビュー劇場「紅薔薇座」を訪れる。そこで発生した「魔女の暦」連続殺人事件にまきこまれ、翌月解決する。
- 6月上旬、浜離宮公園の沖に浮かぶ「貸しボート十三号」から、首を途中まで挽き切られた男女の惨死体が発見された事件を解決に導く。
- 7月末、東京近郊のH海岸で等々力警部とともに静養していた金田一は、新婚夫婦の妻が失踪し殺害される「赤の中の女」事件に遭遇する。
- 8月下旬、成城の高級住宅街をパトロールしていた警官が、半狂乱になった女の自殺をくい止めたが、その女の屋敷から姑と女中の惨殺死体が発見される「支那扇の女」事件に関わり、翌月解決する。
- 秋、隅田川に浮かぶボートに乗せられた檻の中から、血にまみれた瀕死の女が救出された「檻の中の女」事件を解決。
- 10月上旬~下旬 ジュブナイル「迷宮の扉」
- 12月下旬、大胆不敵にも金田一の事務所で死体が発見されるという「悪魔の降誕祭」事件にまきこまれ、翌年1月下旬に解決する。
昭和33年(1958年):45歳
- 3月中旬、東京・上野で開催された美術展に出品されていた石膏像から、女性の全裸死体が発見される「柩の中の女」事件を解決。
- 5月中旬、新宿・浅草・深川に劇場を持つヌードダンサーの女王・星影冴子と3人の情夫を巡る「火の十字架」事件を解決する。
- 5月下旬、戦後の女傑と呼ばれキャバレーも経営する吉村鶴子が、親族を呼び集めた「薔薇の別荘」の密室で殺された事件を調査する。
- 5月下旬、記憶を失った新聞記者・杉田弘の婚約者から依頼され、杉田が唯一思い出せる「瞳の中の女」の謎を解く。
- 6月下旬、闇行為で財を成した実業家・風間欣吾の周辺で猟奇殺人事件が次々に起こる。風間に調査を依頼された金田一は大怪我を負いつつも「悪魔の寵児」の正体を突き止める。
- 8月中旬、大手化粧品会社トキワ商会の女社長から依頼を受け、等々力警部とともに軽井沢へ。別荘で起きた「香水心中」事件を解決する。
- 9月中旬、避暑のためK高原のホテルに滞在していた金田一は、元映画スター紅葉照子から迷宮入り事件の調査を依頼されるが、訪れた彼女の別荘で死体を発見するという「霧の山荘」事件を解決。
昭和34年(1959年):46歳
- 夏の白浜海岸。中学時代の先輩である三井参吾の別荘を訪れていた金田一は、洋弓を射かける悪戯をたしなめた矢先、人魚の洞窟で矢が刺さった女の死体が見つかる「猟奇の始末書」事件に遭遇。これを解決する。
昭和35年(1960年):47歳
- 6月上旬、いかがわしい噂がつきまとっていた東京・日暮里の「猫館」で、女占い師ドクトル・ハマコが殺された事件の謎を解く。
- 6月下旬、東京・成城の路上に駐車された車のトランクから、連日他殺死体が発見される「悪魔の百唇譜」事件を調査し、8月に解決する。
- 8月上旬、匿名の女からの依頼で東京・渋谷の聚楽荘アパートへ忘れ物を取りに行った金田一は、硫酸で顔面と下腹部を焼けただれさせた男女の死体を発見。助手の多門六平太と「雌蛭」事件を解決する。
- 8月中旬、知人の招待で軽井沢に来ていた金田一は、映画界の大スター・鳳千代子のかつての夫が次々と謎の死を遂げる「仮面舞踏会」事件に遭遇。5人目の夫である飛鳥忠煕から調査を依頼され解決する。
- 9月下旬、人気作家・田代裕三が購入した成城の豪邸にある日時計から、ミイラ化した女の死体が出てきてしまう「日時計の中の女」事件を調査。11月に解決する。
- 10月中旬、東京・日の出団地で怪文書が横行。その矢先、団地のダスト・シュートから真黒なタールにまみれた女の死体が発見された「白と黒」事件の調査を依頼され、翌月真相を暴く。
- 11月下旬、渋谷道玄坂のホテルでベルボーイが発見した女性拘束事件に続き、芝高縄台のホテルで青蜥蜴が描かれた娼婦が殺害された「夜の黒豹(原題「青蜥蜴」)」事件を調査。翌年1月に解決する。
昭和36年(1961年):48歳
- 2月中旬、金田一の近所に住む女子高生が、受験勉強で深夜まで起きていた時に目撃した「蝙蝠男」殺人事件の謎を解く。
昭和42年(1967年):54歳
- 6月下旬、アメリカ帰りの億万長者・越智竜平から人探しを依頼される。岡山を訪れた金田一は久し振りに会った磯川警部と旧交を温めるも、尋ね人は謎の言葉を残し怪死していた。「悪霊島」連続殺人事件の調査に乗り出した金田一が真実を暴き出す。
昭和43年(1968年):55歳
- 停年退職した等々力警部が「等々力秘密探偵事務所」を開設。法眼家と本條家の関係について金田一に疑惑を漏らすもはぐらかされる。
昭和46年(1971年):58歳
- 等々力秘密探偵事務所が思いのほか成功し、渋谷の事務所が手狭になってきたので、金田一の紹介で東銀座にある第二風間ビルの4階にも事務所を置く。顧客まで斡旋していた金田一は木戸御免も同じ。
昭和48年(1973年):60歳
- 金田一が住んでいた緑が丘荘は、緑が丘マンションという5階建ての鉄筋コンクリート造りになっていた。建てたのは風間建設で、金田一は2階正面の一番よいフラットを風間俊六から無償で贈られている。
- 4月、昭和28年に起きた生首風鈴事件を発端とする「病院坂の首縊りの家」事件を20年越しで解決。世話になった人々に巨額の寄付をし、単身ロサンゼルスへ旅立つ。以後、消息不明。